よく生きる

現代社会について語るブログ

絶望の国・日本の自殺について思うこと

日本の自殺率が高いという話は多くの人が聞いたことがあると思う。

これについて、自分の知っている事や考えていることを述べていきたいと思います。

 

Wikipediaの「日本の自殺」項目には冒頭にこう書かれている。

日本における自殺は主要な死因の一つであり、10万人あたりの自殺率は20.9人であり、経済協力開発機構(OECD)平均の12.4人と比べて未だに大きい値である(2014年)。自殺率のピークは1990年代であったが、その後2000年から2011年の間に6.3%減少した。しかし未だOECD平均に比べ数値が高いので明らかに要注意であるとOECDは勧告している。

 

 自殺の現状

日本の自殺者は年間およそ3万人と報告されている。男女の内訳はだいたい男性が2万人、女性が1万人。1990年後半に特に男性の自殺率が大きく増加してからはこの数字に大きな変化は無い。90年代後半に大きく男性の自殺率が上昇した理由としては、男性は世帯主である場合が多いので、経済の停滞や非正規労働の増加が影響したのだと思う。(一部では、98年から抗うつ薬の売り上げが増加しており、その副作用が原因である可能性もささやかれているが、その論では男性の自殺ばかりが増えたことの説明は出来ない。)

 

さて、この3万という数字だが、こう言われてもイマイチ実感が沸かない数字だと思う。

そこで比較対象を3つほど挙げてみることにする。

 

東日本大震災の死亡者:約15000人

年間交通事故死亡者:約4000人

他殺による年間死亡者数:約350人

 

21世紀最悪の災害と言われた東日本大震災にダブルスコアで勝ってしまっている。頑張ろう日本などと言っているレベルではない。毎朝子どもが小学校に行くのを「(交通事故に)気をつけてねー。」と見送る親御さんはどちらかというと「(いじめに)気をつけてねー。」というつもりでいた方が現実に即しているし、リアリティのあるドラマをつくりたいテレビ局は刑事ものなどよりも自殺に至る人間をお話にした方がいいのではないか。

 

統計の嘘

さらに言うとこの3万という数字は過少報告されている可能性がある。

警視庁が定める自殺の定義は「死後24時間以内に発見され、遺書があること」らしいのである。この定義に基づけば富士の樹海で発見された腐乱死体も、不意に電車に飛び込んでしまったブラック企業社員も「自殺」ではないのだ。無論、この定義は国際比較に用いられるWHOの基準とは異なる。この事実を指摘する人の中には実際の(WHO基準での)自殺者は年間10万人程度だと言う人もいるようだ。

 

若者の自殺

また、日本の自殺者を年齢別に見た時、若者の自殺率が増加していることも深刻な問題と言えるだろう。先に自殺の増加が経済的要因であることを挙げたが、「失われた20年」の時代を生きてきた若者世代が将来に希望を見いだしにくい世代であることは想像に難くない。正社員が強く保護されている日本の労働環境において若い世代がその割を食っていることや年金制度の世代間格差もある。15~24歳の自殺率だけで言えば日本は世界一である。この記事のタイトルに使った「絶望の国」という表現も、若者の自殺問題を紹介するニュース記事から流用したものである。某哲学者曰く、「死に至る病とは絶望である」そうだが、よく言ったものだと思う。

 

 何故、報道されないのか

さて、これまで日本の自殺問題の闇の深さを紹介してきたが、一般的な感覚とは大きな乖離がある内容だったのではないかと思う。それはなぜか。換言すると、どうして自殺問題についての報道が少ないのか。僕なりに考えてみた答えとしては「ウェルテル効果」を危惧しての事ではないかと思う。「ウェルテル効果」とはマスメディアの自殺報道に影響されて自殺が増える事象を指し、特に若者はその影響を受けやすいという。ゲーテの「若きウェルテルの悩み」という小説において、主人公のウェルテルは恋と人生に苦悩し最終的に自殺するのだが、これが出版された当時、小説に感応した若者たちがウェルテルと同じ方法で自殺するという現象が起きた。これにちなんで名づけられた事象らしい。マスメディアが自殺問題の現状について報道しないのは、自殺という問題を人々から遠ざけることで、人々の考えから自殺という選択肢を消し去ろうとしているのだと僕は考えている。いじめられっ子の復讐が報道されない理由としても、このような噂を聞いたことがある。これは「臭いものに蓋」以下の発想だ。苦痛や絶望を伴って生きている人の中には自殺することで救われる人もいる。そうして人々から死ぬ権利を奪うことは間違っているし、民主主義国家において国民が認識していない社会問題が解決出来るはずがない。(だから僕はこの問題を紹介しようと思った。)

結語

初めてのブログ記事ということで、興味あるテーマについて書いてみたものの、思った以上に暗い内容になってしまった・・・。

これを見てくれた人が少しでもこの問題について関心を持ってくれたら嬉しいと思います。